製法を伝えるべきか否か

女性の肩に肘をついている女性 徒然思うこと

以前、Twitterでハンドメイド作家さんに、使っている材料について質問するのは失礼すぎる!との指摘があった。

その人の主張は、作家さんが時間と手間をかけて苦労して探しだした材料についての情報を気軽に聞くのはおかしいということだった。

それと、巷にはハンドメイドブームもあって、ハンドメイド作品の作り方が載っている本も沢山出版されているが、其処に載っている製法で作品を作って楽しむのは良いが、販売は禁止されているものが多い。

確かに一理ある。手間暇を割いてやっとの思いで安定した材料を調達するルートや製法を見つけ出したのに、見ず知らずの人に、簡単に情報を渡してしまうなんて嫌だと思うだろう。
ましてや同じハンドメイド作家のライバルに、なぜ情報をわざわざ伝えないといけないのか。

その気持ちも分からなくもないが、私の考えは少し違う。
私は、以前ハンドメイドで自身の写真作品をつかってフォト雑貨という商品を作って販売してたが、同業者の人にも材料調達方法を惜しみなく教えていたし、こちらのページでもフォト雑貨の作り方を格安で、公開している。
そして、その作り方で、存分にフォト雑貨を制作してマルシェや、ネットなどで販売しても一向に構わないと公言している。

一部の作家さんには、私の行動は理解できないかもしれないが、その理由を書き記しておこうと思う。

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私が惜しみなく情報を教える理由

製法などを独占するのは、その人の権利を守るためである。其れはそうだろうと思う。
独自の製法を誰にも教えなければ、自分しか作れないし、売り上げも独占できる。
私も作品の著作権までは放棄したいとは思わない。が、製法や資材の調達などについては別だ。
例えば、フォト雑貨の作り方を真似ることはできても、私と同じ写真を使わなければ同じ作品にはならないからだ。

それは、フォト雑貨だから出来ることでしょ?と思うかもしれないが、あるワークショップで先生に教えてもらいながら作った作品があるが、当然違う色、違う形の素材を使うのでやはり別の作品になってしまうのだ。

たとえ、同じ色、同じ形の素材、同じデザインのものを作ってみても先生のお手本とは全然違うものが出来る。技術の違いも当然あるが、どうしても同じ味を出すのは不可能なのである。
もちろん、デザインなどを丸パクリして販売するのは、著作権にも関わってくるので販売などはしてはいけないが、作り方を参考にして真似るくらいは、許してもいいと思う。

こんな話もある。ある縫製作家さんが、型紙を額に入れて飾ってそれを販売していたらそれを見た人がこれじゃあ、模倣され放題じゃないですか!と指摘すると、型紙があっても決まったある場所から縫い始めないと絶対にできないのよと仰ったそうだ。

お菓子のレシピ本にも同じようなことが言えて、肝心なコツなどは省かれていることが多い。
なのでうまくいかないことも多々あるのである。
熟練の業と言うのは、其れこそ誰かに教えてもらっても時間をかけて自分で掴んでいくしかないのである。ちなみに、レシピはあくまでアイディアなので、創作物としては認められていない。写真を載せていると写真そのもの創作物にあたるので、著作権が発生する。レシピと写真を丸パクリして無断転載などの行為だとまずいことになる。)

伝えるということは、進化していくということ

私は、誰かに自分が取得したやり方を伝えるということを惜しみなく行うのは、それ以上に良いものになっていくことを期待しているからである。

私もある写真家さんの本を読んで、自分なりに改良を加えてフォト雑貨の作り方をブラッシュアップできたし、その方も、自分のやり方を惜しみなく教えてくれていて販売も許可してくださって居た。そんな風に、教えてくれる人は目先のことではなく、ずっと先の未来をみているのである。

絵画などの芸術の技法、調理師の調理法、職人さんの技…それらも先人から受け継いできた技術である。それを独占して継承しないでいれば、良いものは広くできないと考える。

誰かと共有して継承していけば、それはさらなる改善が成されて、どんどんと進化していくのではないか。それは未来への財産であると思う。お金にも変わるが、それ以上の貴重なものに成り得ると思う。

私のフォト雑貨がそこまでであるとは、おこがましくて言えないが、少しでも誰かの助けになればいいなと思っている。

とてつもない永い時間をかけて独自の製法を独占したい、誰にも真似できないものをつくりたい、誰かに超えられるのは困る。と言った気持ちもわかるが、守りたいものには、ある程度の線引きをして継承してもいいのではないか?と思う。

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