私は、ドラえもんが好きなので、毎週見ているがツイッターで、みんなのドラえもんの感想をみていると大変興味深い作品に出会った。といっても1986年に既に、みていたはずなのだがその時は、まだ幼く部分的にしか覚えていなかった。
のび太と鉄人兵団あらすじ
北極で巨大ロボットの部品を拾ったのび太。ドラえもんの道具で作った鏡面世界にて、次々と現れてくる部品を組み立てていき、ついに巨大ロボットが誕生する。
そのロボットをザンダクロスと名付け、皆で操縦して楽しんでいた矢先、巨大ロボットの所有者であるというリルルという少女がのび太を訪ねてくるところから、事態は一変していく。
リルルの目的は、人類を捕獲計画を遂行するというものだった。
ドラえもん達はたった5人で地球を救うため、地球侵略を目論むメカトピア星鉄人兵団との戦いを強いられていく。人類とロボットの存亡を賭けた戦いの果てにリルルが選んだ答えとは・・・?
※ここから先は、ネタバレを含みますので、今作を未視聴でネタバレを見たくない方は、ここで読むのをご遠慮ください。
リルルに対するしずかちゃんの台詞
私が一番に関心を持ったのが、ロボットのリルルに対してのしずかちゃんの言葉である。
怪我をした敵であるはずのリルルを看病(修理)をするしずかちゃんに、リルルは「どうして助けるの」と問うとしずかちゃんは、「人間は時に理屈に合わないことをするのよ」と答えた。
とても10歳前後の少女がいう台詞とは思えないが、これは、真理であるととても関心を引いた。
人間という生き物は、確かに矛盾したことや理屈に合わないことをする。
例えば、動物を必要以上に消費するために、殺したかと思えば、犬猫は可愛がって動物愛護や動物虐待を叫びだし、環境を破壊して動物たちを追い詰めたかと思えば、今度は保護をして増やしたりする。
生き物に対してだけではなく、時に心と裏腹なことを言ったりしてしまい、後から激しく後悔したり、ダメだとわかっていても許せなかったりとどうしても割り切れないときもある。
人と言う生き物は、時に奇妙な行動をするものだと思っている。それだけ単純な生き物ではないということなのかもしれないが。
新旧作の違い
この作品は、1986年に初めて映画になって公開されたが、こちらは原作にかなり忠実に描かれていると思う。尺も長くてテンポも新作(2011年公開)よりは遅く感じた。
新作の改変は、もちろん賛否両論があるが私は、新作の方が今の時代に合っていてとてもよかったと思う。
のび太たちの傍に付くロボットも、旧作だとミクロスだが、新作はピッポである。
旧作のザンダクロスの頭脳に無理やり穴を開けて改造してしまうというのもちょっと残酷な描写であるし、それよりは、ピッポをこちらの味方に付けるというほうが、まだ人道的であると感じる。
スネ夫のロボットミクロスは、憎めないキャラではあるが、騒いでいるのが正直うざかったし(苦笑)彼もしずかちゃんを救ったり、神様に文句を言いたい!という未来を変える重要な台詞を言う役割があるのだが、リルルがザンダクロスの頭脳であるピッポを助けたから二人の友情は確固たるものになり、其れに加えて、ピッポがのび太たちとふれあうことによって、人間の温かみを知り、リルルに其れをテレパシーで伝え共有し、リルルが、友情を育んだしずかちゃんから貰ったネックレスをアムとイムに植え付けることによって、人を思いやる心を育むことが出来たというくだりは、旧作の「人を思いやる心を育てよう」と言うだけの博士のそれよりも説得力があったと思う。
改変についての監督のエピソード
この作品の新作「新どらえもんのび太と鉄人兵団ーはばたけ天使たちー」の監督のこんなエピソードがある。
今作の監督は、寺本幸代監督である。映画を作るにあたって、原作をもう一度読み返し原作の「他人を思いやるあたたかい心を……」という、古代メカトピアの博士のセリフがある。
映画のテーマとなるキーワードは「思いやりの心」それを大事にして描いていけば、この映画は大丈夫だなと思っていたと語っている。
そして、自分が楽しんでつくっていけば観客は、きっとそれを感じ取ってくれると信じていた。
先述した通り、監督の思いも意図もしっかりと受け取れたと思っている。私はこのリメイク作品をよくぞ作ってくださったと強く思ってる。
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