ドラマ・三浦部長本日付けで女性になりますを見て思ったこと
「三浦部長本日付けで女性になります」というNHKのドラマを視聴した。
ムロツヨシさん演じる三浦安雄(みうらやすお)が、女装したのをきっかけに自分はトランスジェンダー女性であることを自覚していくという話。
自分がトランスジェンダーであることや、妻や会社の人間や取引先の相手に否定されたり拒絶されたりする中で、葛藤して自分らしさを追求していくという流れであったが、1時間弱で納めなければならなかったためか若干、中途半端な作りであった。
私がトランス女性に触れるたびに思うのだが、女性に成るというのはかなりの覚悟がないとなれないと思う。というのは、男性が女性に成ることへの偏見や好奇の目で見られることから闘うということだけではない。
女性として生きるには、自尊心を踏みにじられる可能性がある。ということである。
劇中でも少しあったが、女性だけのプロジェクトチームが、単なるお飾りだと上司に言われ、
「女をなめてんじゃねーぞ!」とキレる安雄だったが…
こんなことは日常茶飯事である。女性の活躍、女性を輝かせるとか口では言っているが、本当に女性が自分よりも優れていたり、活躍されると大抵不機嫌になったり逆切れするのが、現実であるからだ。
そもそも、「女性らしい」とわざわざ言ってる時点で特別扱いしているのだろう。
トランスジェンダー女性だって特別な意識なく人として扱ってほしいと思っているだろう。
男性が女性になった時に見えてきたもの
こんな話を聞いた。男性から女性になったトランス女性が女性になった途端に道を歩くだけで、足を踏まれ、舌打ちをされるようになったそうだ。女性として生きるとは、こんな扱いをうけてしまうのか!と驚愕されたそうだ。
女性は、弱いと思われて暴言は吐かれる、痴漢はされる、セクハラもされる。
それを笑って流さないと生意気だといわれる。可愛くないといわれる。止めてくださいと穏やかに言っても止めてくれない。
だから「やめろや!ボケ!」とキツめに言うと今度は「これだから女はヒステリックだ!」といわれる。性暴力は幼いころから受ける。
ようこそ、踏みつけられる女性の世界へ…
女性に成って初めて、女性の受けてきた差別や偏見を目の当たりにするのだろう。
それが良いことだとは、当然思えないし、当たり前だとも思いたくない。
でも、今は、まだまだそれが現実なのである。
偏見や好奇の目でみられるのを超えて、どこをどう見ても女性のようになれたとしたら、今度はこういう風に自尊心を踏みにじられる試練が貴女を待ち構えている。
今では、#metoo などの活動で、女性も権利を獲得しつつあるが、まだ世間に認められにくく、何故か女性が権利を主張しているだけで、男性の権利が奪われるだの、生きづらくなるだのと言われる。
女性の権利と男性の権利は、両立出来るはずだ。
要は、女性が権利を主張するのが気に入らないだけなのだ。
これからもそういう声と闘っていかなければならない。
これは女性の永遠のテーマであり、勝ち取らねばならないことである。
女性に成りたいと思っているトランス女性が、一緒に闘ってくれると、とても心強いのだけれどなあと切に願わずにはいられない。
他人の権利を守ることが自分のためにもなると言うこと
私は、女性の権利と自由を認めて守ると言うことは、回り回って男性のためにもなると思っている。
何故なら、例えば妻のキャリアを優先させてバリバリ働いて貰えば、仕事が苦手な夫は安心して専業主夫になれるし、そう言う女性が増えれば子育ても安心してできる。
そうすれば子供が増えて少子化も解消されていく。
このまま、子供が減り続けたら、高齢者で身体もろくに動かないのにシャカリキに働かされる未来しかないと思う。
ジェンダー問題よりも経済!というが、女性にしろ、男性にしろ、大事にされなければ病んで鬱になってしまって会社を退社せざるを得なくなる。
安心して働ける社会でなければ経済も成長しない。
このように、ジェンダー問題は経済に大きく食い込んで関係している。自分には全く関係のないようなことでも、実は深く関係しているのだ。
先述したドラマに話を戻すと、三浦部長が女性として生きていくことを決めた後の人生の方が大変であると思う。なので、是非とも続編を作って、女性の生き辛さを真っすぐ見つめて一緒に闘ってくれる三浦安雄(みうらあゆ)を観たいと思う。#NHK ドラマ班の今後に期待します。
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