生命の沙汰

連載小説

生命の沙汰(10)

ピルるるるるーーーーーーー!♪美栄子のスマホが鳴った。神木からである。美栄子がスマホの画面を確認すると「美栄子さん!あの後、僕たち意気投合してすっかり仲良くなっちゃって!それから…!」と浮かれ上がった神木の惚気メッセージがツラツラと長文で書...
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生命の沙汰(9)

神木に話すことは出来た。これからどうするか。美栄子は悩んでいた。英子さんに、このことを話すべきか。神木と二人で、あの世のお金が何を指すのか調べていたが、二人の過去と願いを知ってしまった以上、何もせずにいられるわけにもいかなかった。しかし、前...
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生命の沙汰(8)

翌日から、美栄子は占いの仕事を再開した。英子も心配してメッセージをくれた。しかし、最近仕事が忙しくて美栄子のところへは行けない旨を伝えてきた。美栄子は、正直ホッとした。あのことを話さずに済みそうだったからだ。週末の最後の客を鑑定してから神木...
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生命の沙汰(7)

美栄子は、英子の過去を知ってしまってからしばらく寝込んでしまった。あれから1週間は経ってしまった。店の予約も全てキャンセルだ。大損失だ。英子と神木から何度もスマホに連絡が入っていたが、返せる気分でもなかった。最低限の家事と父親の世話だけは、...
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生命の沙汰(1)

「最近ね、よく会いに来てくれるんです。」彼は、ぽつりとそう言った。「昨夜も、そうでした。でも、少しおかしなことを言ってるんですよ」「おかしな事って?」私は、円卓に置いてあった数珠を手に取って握り締めながら聞いた。「ここに降りてくるには、お金...
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生命の沙汰(6)

翌日から美栄子は、自分のお客の中から死んでから生まれ変わるまでの期間の記憶がある人を探ることにした。お客さんの思考を勝手に探るってのは気が引けるけど…少しだけ!とこの時は、完全に魔が差していたと自分でも思う。ピンポン♪今日予約が入っていたお...
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生命の沙汰(5)

「徳かあ…」神木が、腕組みをしながら考え込んだ。「ん?」美栄子は、頬杖をつきながら神木をチラッと見た。「いやあ、僕そんなにいいことしてないなあって思って。」神木が伸びをしながら答えた。「そうなの?」「んん、母にもそんなに孝行な息子じゃなかっ...
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生命の沙汰(4)

「それは?」神木が固唾の飲んで尋ねた。「うん、その差配する偉い人に、お金の正体が何なのか口止めされてんのよ。下界の人間に知られちゃまずいことなんじゃない?いいことが起きる方法を知られるってことは、それを逆手に取って悪用も出来ちゃうってことな...
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生命の沙汰(3)

ー後日ーそれから神木は、何となく美栄子の店に行きづらかった。大変な状況の上に、デリケートな事に触れてしまい、自分の頼み事をするなんて非常識じゃないか?とぐるぐると考えつつ、美栄子の店の前を行ったり来たりしていた。すると、プルルルルーーー♪と...
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生命の沙汰(2)

「私が、大して役に立つとは思えないんだけど」美栄子は、大きな溜息をつきながら、神木を上目遣いでみた。「でも、クークルレビューは、僕が何とかしたんですから職務は全うしてもらいますよ!」神木が、ジロリと美栄子を睨んだ。「ともかく!霊能者とかじゃ...
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